読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

彩瀬まる「あのひとは蜘蛛を潰せない」

家族であることの幸せは、お互いを愛す喜びでもあると思う。しかし、それは時に世代の流れにのまれて息ができなくなる窮屈さをともなうこともある。良かれと思って、守ろうとして、可愛いがゆえに、愛するがゆえに逆にその対象を傷つけてしまう矛盾が生まれ…

「開化の殺人-大正文豪ミステリ事始」

収録作は以下のとおり。 「一般文壇と探偵小説」江戸川乱歩 「指紋」佐藤春夫 「開化の殺人」芥川龍之介 「刑事の家」里見弴 「肉店」中村吉蔵 「別筵」久米正雄 「Nの水死」田山花袋 「叔母さん」正宗白鳥」 「「指紋」の頃」佐藤春夫 解説 北村薫 副題に「…

高山羽根子「オブジェクタム/如何様」

このなんともとらえどころのない展開に翻弄される。すべて幻想譚だ。途中で様相が一変する。何を見せられているんだ?とまごついてしまう。 特に驚いたのが「太陽の側の島」。戦時中の話なんだなと思って読んでいると、目玉飛び出します。どこかの南国の島に…

ブライアン・アザレロ、リー・ベルメホ「 ジョーカー[新装版] 」

この表紙の禍々しさ。ゾゾ毛たちまくりだもんね。邪悪で、汚くて、オゾマシイ。それが一発で感じとれちゃう表紙でしょ? みなさん、ご存じジョーカーなのであります。バットマンに登場する最大の宿敵。犯罪界の道化王子との異名もあるこのサイコパスのヴィラ…