読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

密室に佇む人たち

集まった人たちはみな呆けた顔をして所在なく立ちつくしていた。

天井の高い教会のような場所だ。しかし、窓はひとつもなく明かりはもっぱら室内に備えつけられている

シャンデリアっぽい照明器具からのものしかない。調光機能がついているらしく、室内全体がどんよりと

薄暗い明かりで統一されている。

ぼくは、どうしてここにいるのだろう?

誰かに招かれたような気もするし、誰かに無理やりつれてこられたような気もする。だが、ここに来る以

前の記憶がすごくあやふやだ。

まわりの人たちはどうしてあんなに呆けているんだ?

虚ろな目をして、だらしなく口をあけて、アーとかウーとか静かに唸り声を出している姿は、すごく不気

味だ。見知った顔もないので、どこか作り物めいた印象も受ける。年齢もバラバラ性別もバラバラの人た

ちはなんのためにここに集まっているのだろう?というか、あきらかにこの人たちに意思はない。だとす

れば、この人たちも無作為にここに連れてこられたのだろうか?

どんどん不安になる気持ちを無理やり抑えこみ、とりあえずぼくは出口を探した。

そこでハタと気づく。

この建物には出入りするドアがない。

どうすればいいんだ?ここから出られないじゃないか。こんなところにあと10分もいたら、気が変にな

ってしまうぞ。躍起になって探し回るぼくは、方向転換した際に不注意にもそこにいた女の人に身体をぶ

つけてしまった。すると、その女の人の頭がぶつかった衝撃で落ちた。

「ああああああーーーー」

激しく絶叫してしまう。首はポロリと落ちてコロコロ転げて虚ろな目のまま天井を見上げている。

とれた方の身体は、黒い切断面を見せてユラユラ揺れながらも自立している。血は出ていない。

なんなんだ?この人たちは人形なのか?

そう思った途端目が覚めた。