いまでは読むこともない赤川次郎の大貫警部シリーズが結構好きだった。
その大貫警部が、本書のドーヴァー警部をお手本に書かれたということを知って、本書を読んだ。
これも二十年近くまえのことである。
その当時でさえ本書はおいそれと見つかる本ではなかった。新刊書店にもなく、ネットも普及していな
かったのでさがすのに大変苦労した思い出がある。
で、ようやく手に入れて読んだのだが、これが期待にたがわずおもしろかった。
ドーヴァー警部はさすが本家本元だけあって、その性格は大貫警部のさらに上をゆくものだったのだ。
でも、おそろしく見当違いの推理をして、まるで偶然に事件を解決してしまう大貫警部とは違って、こ
のドーヴァー警部は後半からにわかに名探偵づいてくる。
しかし、そこは英国。ブラックな味わいが強烈なアッパーカットをくらわせてくれるのである。
お約束的などんでんのあと、さらに驚きの展開となる。
本書の感想を一言であらわすなら「笑い転げて、背筋が寒い」っていう感じだろうか。
この真相は、男にとっては非常に怖い。
このシリーズ全貌はさだかではないが、まだ何冊か出てたように思う。本書以降一冊も読んでないのだ
が、ぼちぼち集めていこうかな。