読書の愉楽

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ピアズ・アンソニイ 魔法の国ザンス12「マーフィの呪い」

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 魔法の国ザンスシリーズ第12巻なのである。前回、9歳のドルフ王子が失踪したよき魔法使いハンフリー一家の行方を探す旅に出て、目的は果たせず二人の婚約者を連れて帰ってくるという結果となった。
 本書はその出来事から3年後、こんどはドルフの姉である17歳のアイビィが私の出番とハンフリー一家捜索の旅に出ることになった。とりあえず、前回の旅でドルフが手に入れた唯一の手掛かりであるヘブン・セントをを作動させたのだが、アイビィが連れていかれたのは魔法の存在しないマンダニアだった。

 

 彼女はそこでグレイという青年に出会い恋に落ちてゆくのだが・・・・。

 

 今回、ようやくハンフリー一家の失踪事件に一筋の光明があたることになる。そして、いままで男性と付きあったことがなかった(王女だから、あたりまえか)アイビィにようやく恋人ができることになる。といっても先に書いたとおり、その男性はマンダニア人。これは波乱の兆しだと期待して読んでいたら、やはり魔法の有無をめぐる問題が浮上してきていったいどう解決するんだとやきもきすることになった。

 

 しかしそこはピアズ・アンソニイ、こんなややこしい話をすんなり収めてしまうのだから、ほんと尊敬してしまうね。
 と、ここまで読んできていったいなんのこっちゃと思う人が大半だと思うので少し解説すると、マンダニアっていうのはザンスとは別の世界で、いわゆる我々のいる現実世界のこと。ザンスとは悪夢を支配する『催眠ひょうたん』の世界を通じてつながっている。当然アイビィとグレイもその催眠ひょうたんの悪夢世界を通り抜けてザンスへの旅をすることになる。しかし、ここで問題なのがザンスの王位継承問題であり、王女であるアイビィの連れあいとなる者はその資格として、当然魔法使い級の魔法をつかえないといけないのだが、グレイはマンダニア人なので魔法は使えない。だが、旅の途中で危機を回避するのに一度ならずグレイの信じる力に助けられる。グレイに魔法の力が存在するのか?いやいや彼はマンダニア人ではないか。しかしどう考えてもこの危機回避能力をただの幸運だと割り切って考えることはできない。

 

 いったい彼らは思いを遂げるためにどうすればいいのだろうか?

 

 本筋の大きな謎と各巻それぞれの主人公が直面する個々の問題。彼らはその謎の答えを求め、問題をのりこえ、ひとりひとり大きく成長してゆく。だから読み手は主人公たちと同化し、一喜一憂し、最後には勇気をもらって本を閉じることになる。まだまだハンフリー一家の謎は解かれないが、本書の冒険でアイビィは確かに成長した。将来の女王として立派な女性に変貌した。こうしてザンスの歴史は積みかさねられてゆく。すべての登場人物が歳をとり、さまざまな出来事が記憶に残って世界が動いてゆく。
 今度はセントールが主人公のようだ。ハンフリー一家は見つかるのだろうか?まだまだザンスの物語は続いてゆくのである。