笑ってしまった。ゆるゆるのキャラと微妙なヘタウマな絵。先の展開が読めるにもかかわらず、おもわず
引きこまれるストーリー。そして何より笑えるのがネームの絶妙なセンス。久しぶりに当たりのギャグ漫
画を見つけた!と喜んだ。で、さっそく本屋にいって単行本第一巻を買ってきたというわけ。
何がおもしろいって、やはりこのネームのセンスなんだろうね。ぼくが一読してファンになってしまっ
たジャンプの連載作は主人公である磯部磯兵衛が無愛想なお犬様を散歩に連れている途中で、平賀源内に
会い、ひらめいた源内が『鳥獣翻訳機』なるものを発明し、さっそく装着。その一言目が「外せ噛み殺す
ぞ(ボク トッテモ タノシイヨ)」。あ、カッコ内は翻訳機の言葉ね。で、それを見て可愛いなと気をよ
くした磯兵衛がなでてやると「オイこら気安く触れるな(チョウゼツ キモチイイ)」とどんどん会話が
ズレてゆくのである。最後にはこの齟齬の原因もわかるのだが、とにかくこれが最高に笑えたのだ。
もうすぐ三巻目も発売されるらしいし、これはずっと読んでいこうと思った。
その際に売り場をウロウロして他にも気になる漫画があったので一緒に購入した。それが「僕だけがい
ない街」と「聲の形」。どちらもいま話題になっているらしい。POPがあって売り出し中だった。
「僕だけがいない街」はミステリ。主人公の藤沼悟は売れない漫画家。生活のためにピザの配達のバイ
トをしている。彼には同じ時を何度も繰りかえすという特殊な能力があるのだが、それは必ずなにか悪い
事が起こる直前に繰りかえされる。まるで、お前がそれを防げと強制されているみたいに。しかしその悪
い事が何なのかは、すぐにはわからない。彼はその現象(再上映 リバイバル)が起こると何度も繰りか
えされる場面の中に違和感をみつけて事故、事件を未然に防ぐ努力をする。そんな彼は、過去に未解決の
事件にかかわっていた。連続誘拐殺人事件。この第一巻は、後に続く大きな謎の解明のための長い伏線
だ。続きが気になって仕方がない。
「聲の形」は、胸がぎゅうっとつぶされるような痛みをともなう作品。明るく、楽しく、大冒険!を実
践するバカだけど憎めない小6の石田将也がいる学校に転校生がやってくる。西宮硝子、彼女は耳が聞こ
えないという障害をもっていた。異分子として扱われることになる硝子。子どもは残酷だ。人と違う者が
いるとそれを排除しようと結束する。その先頭にたつのが将也だ。彼は、歪んだ感情で彼女に惹かれてゆ
く。本当の気持ちが心の底に隠れていて自分でも気づいていない。硝子は日々、辛い目にあってゆく。し
かし彼女はいつも他者に感謝し自分を強く保って、自分の境遇を受けいれて生きてゆく。その彼女の感情
が爆発する場面がラスト近くにある。しゃべれない彼女が叫ぶ悲痛な思いにぼくは泣いた。これも続きが
気になる作品だ。
というわけで三作紹介したが、どれもオススメだ。興味をもたれた方は是非お読みください。