BSのFOXチャンネルで金曜の夜9時から「ウォーキング・デッド」というドラマをやっている。明日で第4話なのだが、これがもう素晴らしくよく出来たゾンビ物なのだ。もともとこれはアメコミが原作でそれの翻訳版も風間賢二氏の訳で飛鳥新社から刊行されていて、もうすぐ第二巻も出るそうだが、これは未読。だってちょっと高いんだもの。もうちょっと安かったら買うんだけどなあ。
それはさておき、このドラマ何が凄いのかというと、そのリアルな描写が素晴らしいのだ。第1話を観て衝撃だったのは蠅だ。散乱する死体にたかる蠅。そして画面から臭いが漂ってきそうな腐敗した死体。
その描写はあまりにも迫真すぎて凄まじい。
主人公は保安官の男。妻と幼い息子のいる三十男だ。最近、妻との仲がうまくいってないのが悩みのこの男、逃亡犯を追いつめて銃撃戦の最中に背中を撃たれて負傷してしまう。意識を取り戻してみると病院の病室の中なのだが、まわりには誰もいない。まだ完全に治っていない身体を無理に動かして病室から出てみるが、病院の中はなぜか荒れていて人っ子ひとりいないのである。やがて彼はほとんどの肉を剥ぎ取られたかろうじて女とわかる死体を発見する。そしてなんとか病院を抜け出した彼が目にしたのはおびただしい数の死体だったのである・・・・・・。
「ウォーキング・デッド」の素晴らしいところはヒューマンドラマとしても優れているところだ。主人公の男とそれを取り巻くさまざまな登場人物たち。彼らひとりひとりにドラマがあり、それが有機的にからまりあってゆく。そこにあまりにもおぞましいゾンビが加わるのだから面白くないわけがない。ぼくが観ていて衝撃だったのは第2話のある描写だ。ゾンビたちがうようよいる街中を車を手に入れるために突っ切ってゆく主人公たちのとった行動はいまだかつて観たことのない酸鼻極まる場面だった。
というわけで、おそまきながらこのドラマにハマっているわけなのであります。いま毎週欠かさず観てるドラマといえば、この「ウォーキング・デッド」と「ストロベリー・ナイト」だけ。どちらもなかなかよく出来たドラマだと思うのだが、どうだろうか。
では、今回の古本購入記であります。今回は9冊7作品。タイトルは以下のとおり。
「ベルリン1933」 クラウス・コルドン
「カラスの親指」 道尾秀介
「背の眼(上下)」 〃
「骸の爪」 〃
「灰の男」 小杉健治
「海辺のカフカ(上下)」 村上春樹
「オッド・トーマスの救済」 ディーン・クーンツ
道尾秀介氏はぼくの中では伊坂幸太郎や恩田陸とおなじランク付けで、いってみれば器用貧乏的な印象が強くてあまりそそらないのだが、それでも伊坂作品の「チルドレン」のようにすごく面白い作品もあるので一応吟味しているわけなのである。今回購入した三作は、これはぼくにも合うんじゃないかと判断したのだが、さてどうでしょうね。
で、新刊のほうはというと以下のとおり。
「ウェイクフィールドの牧師」 ゴールドスミス
「童女入水」 野坂昭如
「トーイン クアラルンゲの牛捕り」 キアラン・カーソン
この中でカーソンの本は「本が好き!」の献本である。3500円以上もする本だ。おいそれと購入できない類の本をこうやっていただくことができるのだから、ありがたいことである。いま読んでいる最中なのだが、アイルランド神話の英雄クー・フリンの活躍が素晴らしい物語で、これは面白いですよ。なんせこの男、戦っているときに『ねじり首環の発作』を起こして、化け物みたく変化してしまうのである。なんじゃそりゃと思った方はぜひぜひ読んでみていただきたい。発想の自由さに舌を巻く物語です。
他の2冊はどちらも岩波の本。「ウェイクフィールドの牧師」は、18世紀の英国文学。英国の片田舎にすむ牧師一家が数々の苦難にあいながらも屈することなく生きてゆくお話。
「童女入水」は短編集で、表題作は若い母親から虐待を受け八歳で浴槽に入水する女の子の話。
では、今回はこれにて。まだ風邪が完全に治りきっていないので、ノドが痛いんです。