読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

ジョイス的

 ジミー・ペイジのことはあまり好きじゃない。長い髪と尖った鼻が魔女のようで気味が悪い。ただそれだけのことで人の嫌悪は決まってしまったりする。同様に些細なことが理由で物事の成否も決まってしまう。

 なんだ、ここは。虫が多いな。それに力の抜けてしまった身体は重くて仕方がない。昨日は、そうだサンクスギビング・デーだったな。あのターキーはまずかった。あれも理由だ。あんな不味いもの作りやがって。あ、あれはオリオンか。今日はやけに空気が澄んでいる。さそりの毒にやられた巨人か。あの星座だけはぼくにもはっきり見分けられる。あとカシオペヤも。カシオペヤといえばアンドロメダの母親だったな。ここでまたポセイドンの登場だ。オリオンもカシオペアもポセイドンつながりか。

 痛っ、枝が当たった。切れたかもしれない。そういえば、三つのときに引っかかれた猫の爪痕はずっと残ったままだ。どうして痕の残らない傷と残る傷があるんだろう?同じ切れた傷でも刃物で切った傷は断面がきれいだから残らずにふさがるんだろうな。猫の爪の傷は引き裂いているからきれいにつながらないんだ。じゃあ、いまの枝でこすれたところも傷痕で残ってしまうんだろうか?

 こんな靴でくるんじゃなかった。あまりにも無謀すぎた。ぼくは衝動で動いているところがあって、考えるより先に身体が動いちゃってるからいつも損してるんだ。だから、こんなことをする羽目になってしまった。さっきからずっと頭ん中で聴こえているこの歌はなんだっけ?カーペンターズピンクフロイドニルヴァーナ?いやいやいやいやいや、違う違うビートルズだ。You Never Give Me Your Moneyだ。


 ぼくがキスしたときに店でかかっていた曲だ。店員が怒ってた。黒い服。モリーは、いつも泣いてた。陽気な性格なのに。ぼくはいつも泣かしてた。それが、こんな姿になってしまって・・・・・。 

 みんなどうしてるんだろう?ぼくにできるかな?でもやらなきゃいけない。ぼくが殺してしまったんだから。モリー、こんなに重い。どうして殺しちゃったんだろう?

 ああ。やっぱり山は寒いな。なんか濡れてる。死んだら、身体から漏れてくるのかな?モリー、ごめんよ。花を添えてあげるからね。