こんな夢をみた。
彼女と一緒に雨の中、美容室に行った。そこはめずらしくボードウォークのある店で、ぼくは彼女と並
んでボードウォークに設置してある椅子に座らされた。髪を切る前に軽く洗髪いたしますと言って椅子の
背を倒しながらクルッと向きを変えると、ちょうど軒先から垂れている雨水が頭にあたるようになった。
へー、この美容室は雨垂れを利用して洗髪するのかと感心する。隣りを窺うと、彼女も同様に雨水で髪を
洗ってもらっていた。なんだか、いいなぁと思う。長閑で静かで、ちょっと幸せな気分だ。
洗髪が終わって起き直るとさっそくカットがはじまる。手持ち無沙汰だったぼくは、アシスタントの可
愛い女の子に新聞を所望する。
さして目的もなくウロウロと記事の見出しを見ていると、ひとつ気になる記事があった。それによると
ぼくの生まれ故郷であるU町に、イギリスの陸軍が大挙しておしよせたというのだ。なになに?いったい
どういうことだとさらに詳しく読んでいくと、U町に住む某氏の家に住みついている猫がある日突然喋る
ようになったというのだ。そしてその猫が言うには何年何月何日何時何分何秒に誰某が死ぬと予言をする
ようになった。で、その予言がことごとく的中するというので大騒ぎになっているところへ非公式であり
ながらイギリスの陸軍がのりこんできたということなのだ。
ほう。なんちゅうことだ。しゃべる上に予言までするとは、まるで件(くだん)だなと思っていると、
ぼくの目の前をそのイギリス陸軍が横切っていった。一瞬のことだったのでよくわからなかったが、なん
か陸軍というよりグリーンベレーのような印象を受けた。店の可愛いアシスタントの子がなぜか受けて大
笑いしている。ぼくは喋る猫のことが気になって仕方がない。予言してもらいたい。ぼくはいつ死ぬんだ
ろう?それも気になる。それと、もうひとつさっき通り過ぎていった兵士の最後の一人が欽ちゃん走りし
てたのもすごく気になる。あ、そうか、それで笑ってたのか。納得して、ふと隣りをみると彼女のカット
がすごくいい感じになっていた。