読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

古本購入記  2011年 7月

 ここ最近、文学界に由縁のある方が続けて亡くなられた。まず一人目は翻訳家の上田公子さん。上田さんといえば、ぼくの中ではトニー・ケンリック。「リリアンと悪党ども」と「三人のイカれる男」の二冊しか読んでないが、こなれた訳はとても印象深かった。あと有名なところではやはりネルソン・デミルの諸作だろうか。未読だが、ほとんど揃えてある。追々読んでいこう。

 もう一人は日本SF界の巨匠、小松左京氏。正直この人の本は一冊も読んだことがない。短編を何作かアンソロジーで読んだくらい。しかし、この人の本も何冊かは購入してある。特に「継ぐのは誰か」は絶対読んでおかなければいけないと思っている。

 今年の五月にはこれまた名のみ知るという作家なのだが、団鬼六氏が亡くなられている。残念ながら、この人の本は所有していない。おそらくこれからも読むことはないだろう。

 昨年は、つかこうへい氏と井上ひさし氏が亡くなられた。やはりこういうものは通常、年功序列なので自然と大御所が先に逝くのは理解しているつもりだが、それでもやはり寂しいものは寂しい。

 だが、本当のところぼく自身が一番衝撃を受けていまだに悲しい気持ちになっているのは、児玉清氏であったりするのだ。みなさんのご冥福をお祈りいたします。

 と、暗い話はこれくらいにして、古本購入記なのだが今回は新刊本のほうが多かった。割合からいうとタイトルは新刊購入記なのだが、恒例としているのでこのままでいこう。ていうか、最近は新刊も同時に書いているので、本当のところ『古本購入記』というタイトルはおかしいんだけどね。

 今回購入した古本は6冊5作品。タイトルは以下のとおり。


 「TOY JOY POP」 浅井ラボ

 「陽だまりの偽り」 長岡弘樹

 「ミノタウロス」 佐藤亜紀

 「ヒトラーの防具(上下)」帚木蓬生

 「苦界浄土」 石牟礼道子


 すべて100均棚より購入。かなりセーブするようになりました。うれしいのは、「ミノタウロス」と「苦界浄土」かな。いつものごとく、いつ読むかわからないけどね。

 新刊はというと、以下のとおり。


 「オブ・ザ・デッド・マニアックス」 大樹連司

 「僕の妹は漢字が読める」 かじいたかし

 「ゴーストハント5 鮮血の迷宮」小野不由美

 「開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU」 皆川博子

 「生、なお恐るべし」 アーバン・ウェイト

 「ラテンアメリカ五人集」 マリオ・バルガス=リョサ


 上の二冊はラノベである。四十過ぎたおっさんが、こんな萌え系の表紙の本を買うなんてヘタしたらサイコ物のホラー映画の一場面にもなりそうなシチュエーションだが、そんなこと気にしない。興味がそれを上回っているから羞恥などものともしないのだ。皆川博子作品は昨日紹介済みだからよしとして、注目は「生、なお恐るべし」だ。オビにデカデカとキング御大の推薦文が載っているところが地雷っぽいのだが、これはぼくの嗅覚がビンビンと反応しているので、おそらく間違いないと思うのである。

 「ラテンアメリカ五人集」は1994年にラテンアメリカの文学シリーズとして刊行された時は、買い逃していた本。あの時に買ったのはマルケスの「族長の秋」とビオイ=カサレス「豚の戦記」の二冊のみ。しかし、よくよく確認してみると、今回と前回では収録されている五人の作家の名前が少し違うことに気付く。前回はレイナルド・アレナスとシルビナ・オカンポが入っていたが、今回はこの二名のかわりにホセ・エミリオ・パチェーコとカルロス・フェンテスが収録されている。なんか複雑。こうなると、前回の本も欲しくなっちゃうのが本蒐集家の悲しい性。つい最近までよく古本屋で見かけたのだけどなあ。

というわけで今回の古本購入記、これにて終わりまする。