読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

古本購入記  2011年 5月

なぜだか、今月は結構買ってしまった。まだまだ新刊だと思われる本が105円で売られたりしてると思わ

ず買ってしまう。それとか、ピピッと反応してしまうような本が色々見つかったから、やはりどうしても

手に入れたくなってしまう。そういうのが重なった。あと、心情的に大きく影響したのが、児玉清氏の逝

去だ。あのジェントルマンがそのまま現出したような素敵な紳士であり、無類の読書家でもあった児玉氏

が亡くなったことは、ぼくの中に大きな穴を穿った。彼のオススメする本は、ほんと気になる本が多く参

考にしたことも数知れず、彼の解説を読んで本を買ったことも少なくなかった。時代物から翻訳エンター

テイメント物、文学作品からミステリまで、面白いと思える本ならジャンルなど関係なく追い求めるその

姿勢には、常に憧れと幾ばくかの畏怖がともなった。なにせ、翻訳物の日本での刊行が待ちきれないとい

って、そのほとんどを原書で読んでしまうくらいバイタリティにあふれた人だったのだ。本好きの鑑とも

いえる人ではないか。つい先日NHKの『週刊ブックレビュー』で児玉氏の追悼番組が放映されたのだが

、そこで児玉氏の自宅の蔵書を紹介されていて、なんとその数4万冊というから驚いた。そして、さらに

ファンになってしまった。ほんとうに惜しい人をなくしたと思う。安らかにおやすみください。

というわけで今月の古本購入なのだが、22冊21作品購入。タイトルは以下のとおり。


 「寝ても覚めても」 柴崎友香

 「人喰いの時代」 山田正紀

 「ホルモン奉行」 角岡伸彦

 「天保の少年群」 南條範夫

 「ゴルゴダ」 深見真

 「彼女の命日」 新津きよみ

 「会津恋い鷹」 皆川博子

 「私が語りはじめた彼は」 三浦しをん

 「花曝れ首」 赤江瀑

 「戒厳令下チリ潜入記」 G・ガルシア=マルケス

 「幻の声 NHK広島8月6日」 白井久夫

 「道化の館(上下)」 タナ・フレンチ

 「ヴァイオレット・アイ」 スティーヴン・ウッドワース

 「くますけと一緒に」 新井素子

 「永遠の0」 百田尚樹

 「忍びの国」 和田竜

 「苦役列車」 西村賢太

 「もののふ」 柴田錬三郎

 「二十一の短篇」 グレアム・グリーン

 「ブラッド・キング」 ティム・ウィロックス

 「戦争の法」 佐藤亜紀


以上。さて、この中に児玉清が解説を書いている本が二冊ある。どれだかわかるだろうか?話は変わるが

ぼくが初めて児玉氏の解説を読んで思わず買ってしまったのが鳥越碧「一葉」だ。この本はタイトルから

もわかるとおり樋口一葉のあまりにも短い生涯を描いた作品なのだが、児玉氏が『燃ゆる想いで読み切っ

た』というように、静謐でありながら血を吐くような激しさをともなう本だった。これは傑作なので、未

読の方は是非お読みいただきたい。

で、今回の新刊は三冊購入。
 
 「ゴーストハント4 死亡遊戯」 小野不由美

 「ニッポンの書評」 豊﨑由美

 「ヴァンパイアハンターリンカーン」 セス・グレアム=スミス


で、「ニッポンの書評」はすでに読了して記事にしているので、みなさんご存知だと思うのだが、注目す

べきは「高慢と偏見とゾンビ」で鮮烈なデビューを飾ったセス・グレアム=スミスの新作だ。今回はマッ

シュアップじゃないみたいで、すごく期待している。いま、少しづつ読み出しているのだが、まだまだ全

貌は明らかにならない。さて、吉とでるか凶とでるか、乞うご期待。