読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

夜の底で

夜の底で子どもが叫ぶ

ぼくはそれを寝床で遠く聞く

あおおぉぉぉん

あおおぉぉぉん

なんて言ってるんだろう?

よく聞こえないが、悲しんでいるみたいだ

どこか痛いのかな?

何か悲しいのかな?

暗い中に月明かりで青白く浮かび上がる天井を見ながら

ぼくはモゾモゾする

夜の底で小さくなっているみなしごのイメージが浮かんでくる

あおおぉぉぉん

あおおぉぉぉん

さっきよりも声が遠くなった

夜の底が深くなったんだ

泣いてる子が離れていく

ぼくは何もしてやれない

彼もしくは彼女が泣いていても

何もしてやることができない

やがて鼻先に焦げ臭い煙が漂ってくる

そして静かに涙が頬を伝う