幼い頃の記憶はアヤフヤなもので、それが本当にあったことなのか、もしくは思い出の中で変貌を遂げた
まったくの別物なのか、それは誰にもわからない。しかし、どんな形にせよ頭の中に残っている記憶は確
かにあって、それが不意によみがえって驚くことが侭ある。
そんな幼い頃の記憶で忘れられない映像があって、もしご存知の方がおられたら教えて欲しいくらいなの
だが、それがまことに変な映像なのである。
たぶん、映画だと思う。時代劇だ。白黒で画像が荒い。屋内で女性の上に侍が乗っている。二人は交わっ
ているのだ。そこへ男たち斬り込んでくる。侍は交わっている状態で飛び起きるのだが、女性がくっつい
たままだ。その当時は理解できなかったのだが、いま思えばどうやら女性が驚いて膣痙攣を起こして二人
が離れられなくなってしまったという設定なのだろう。侍は正面に女性がしがみつたままの格好で刀を抜
き応戦する。それは異様な光景だ。斬り合いながら屋外へと逃げるのだが女性がしがみついているから、
横歩きしかできないのだ。まるで巨大なカニが歩いているみたいで、幼いぼくはその光景に恐怖をおぼえ
た。田んぼの中の畦道を数人の男たちと斬り合いながら、カニのように横歩きで移動する男女。いまでは
絶対映像化されないだろうその光景がぼくの記憶に残っているのである。これが本当に映像化された作品
なのか、歪んだ記憶なのかがわからない。
もうひとつ。こちらは海外の映画だと思う。おそらくホラー作品だ。海のど真ん中に神父が浮いている。
海面から上半身だけ飛び出した格好で穏やかな表情で手を振っているのである。それを通りかかった船が
見つけ、とにかく神父を助ける。それ以降その船に未曾有の災難がふりかかるという作品だ。これもタイ
トルもわからないし、本当に観た作品なのかもアヤフヤだ。
もうひとつ、これは確か土曜サスペンス劇場だったと思うのだが、かなり変な作品があったのでこれも紹
介しておこう。主演は藤田まことだ。これははっきり憶えている。でも、ドラマの内容がかなりアヤフヤ
だ。誰かが銃で頭を撃たれる。しかしその弾は奇跡的な進入角度により脳を傷つけることなく頭蓋骨の内
面に沿って頭の中を一周し入ってきた穴からまた飛びだしていったというのだ。どう?すごい話でしょ?
それからの展開はオカルト色の濃いもので、記憶に残ってる映像はどこかの空地で穴の周りを踊りながら
まわる裸の女性の映像のみである。誰かこんなドラマ憶えておられますか?^^
最後に、これははっきりした記憶で残っているのだが、幼い頃に何回も観てトラウマになってしまった映
画があるので紹介しておこう。
いまではテレビで放映されることもないのだが、昔はことあるごとにこの映画が放映されていて、少なく
ともぼくは五回くらいこの映画を観ている。
どうですか、これ同年輩の人なら憶えている方もおられるんじゃないですか?
トーリーはもう忘却の彼方なのだが、とにかくこの正面に描かれているザルドスの異様な怖さが強烈に印
象に残っていて、いまだにこの石の頭をみると怖気をふるってしまうくらいだ。
ね?怖いでしょ?これを幼い頃に観てしまった、ぼくの恐怖がいかなるものかご想像つくのではないです
か。だから、ぼくは仮面ライダーアマゾンに出てくる十面鬼ゴルゴスを観たときに泡をくってしまったの
だ。
というわけで、幼い頃にみた映像の記憶についてとりとめなく語ってみた。
ね、月野さん、爽やかさとは対極の話だったでしょ?