読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

古本購入記 2007年9月度

ぼくもようやく落ち着いてきたのだろうか。

最近とみに思うのだが、古本屋に行って本を手に取り吟味する時間が増えた。

それは、どういうことかというと衝動買いが極端に減ったということなのだ。もちろん、懐具合が寒いと

いうおそろしく現実的な経済的理由もあるのだが、それだけでなく読みたい本、読むべき本を真剣に取捨

選択するという随分と慎重な古本ハンターに変わってきたというわけなのだ。

うん?これは、なにか無理やりこじつけたような前置きだな。なんかむりくり自分を納得させているよう

な。いやいやそんなことはない。きっとそうなのだ。ここに至ってようやくぼくも頼れるいっぱしの男に

なってきたということなのだ。なんてったって三人の子持ちだもんね。もうそろそろ落ち着かないとね。

というわけで、今月は吟味に吟味を重ねて選んだ本が8冊。

うわあ、すっごく少なくなってるぞ。先月の三分の一以下ではないか。なんかさみしいけど、それではい

ってみましょうか。

まず一冊目は舞岡淳「明治九年の謀略」。これはねぇ、高橋克彦が褒めてるところがちょっと気になるん

だけども、きっとおもしろいはずだと信じて購入。いや、別に高橋氏が嫌いとかいうんじゃなくて、どう

も今までの経験から判断すると、この人は過剰推薦するきらいがあって、何度か痛い目にあっているので

そう思っただけなんだけど^^。

次は坂木司「青空の卵」。この人はブログ内でも評判いいし、まず間違いないだろうと判断。それになに

より本書の解説書いてるのが北上次郎だからね。

芦原すなお「ルフラン」は、この人にはめずらしい純粋な恋愛物のようなので購入。この人がこういうの

も書いてるとは知らなかった。

岡田秀文はデビュー作の「本能寺六夜物語」と日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作の「太閤暗殺」を購

入。「秀頼、西へ」がなかなかおもしろかったので、この人の作品は一通り読んでみたくなった。時代物

とミステリーの融合って、なんだかワクワクするもんね。

あとの三冊は翻訳作品。カニグズバーグ「ドラゴンを探せ」はミステリ仕立てなのかな?この人の本は見

つければ買うようにしてる。「ジョコンダ夫人の肖像」がとてもよかったので、もう無条件降伏状態なの

だ。ラディカ・ジャ「匂いたつ官能の都」は新刊で出た当時から気になっていた本だ。なんせジュンパ・

ラヒリにメロメロになっていたので、同じインド出身というだけで過剰反応してしまったのだ。でも、こ

のタイトルが購入をためらわせた。『匂いたつ官能』ってなんかモロでしょ?でも、内容を見てみるとな

かなかよさそうなのである。だから気になりつつもいままで保留にしてあったのだが、懇意にさせてもら

ってるりぼんさんのところでこの本の書評を読んで購入決定した。やはりブログって素晴らしい。

ジョン・ギルストラップ「若き逃亡者」は解説を読んで購入決定。こんなこと書かれちゃ、気になってし

まうっての。どんなことが書かれているかは、自分の目でお確かめください^^。


とまあ以上8冊を吟味に吟味を重ねて購入したわけなのだが、気になる本はどんどん刊行されているわけ

で、ちょっと前に出たドナ・タート「ひそやかな復讐」も結構気になっている。これだけ分厚いのが冗長

でないなら、これは傑作の匂いがプンプンしている。誰か読んで感想聞かせて欲しいところだ。

今日新刊書店に行ったら、またまた気になる本を発見した。アーサー・ブラッドフォード「世界の涯まで

犬たちと」は短編集らしいが、エイミー・ベンダージュディ・バドニッツを引き合いに出してるところ

なんか、とっても気になる。たぶん、好みの作品だろうと思われる。

黒澤珠々「楽園に間借り」も、おもしろそうだ。大森望も絶賛してるしね。

原 宏一「床下仙人」も、いいんじゃない?こういう奇想小説大好きだしね^^。Amazonで調べたら、こ

の人結構本書いてるのね。まったくノーマークでした。ちょっと注目。

というわけで、本の世界は底が知れない。どんどん深みにはまってしまう。これは呪縛なんだろうな。