読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

森奈津子「西城秀樹のおかげです」

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 バイセクシャルだとカミングアウトしてる上に西澤保彦作品で主役をはってるというこの女性の作品を一度読んでみたいと思っていた。たんなる興味本位である。そこで本書に白羽の矢をたててみた。

 なんとも人をくったタイトルではないか、いったいどんな話なんだと思ってしまう。

 本書には八編の短編が収録されている。噂にはきいていたが、この人本物だ。

 これらの作品をジャンル分けするなら、一応SFになるのだろう。「終末の日」や「アンドロイド」や「未来の世界」や「ファースト・コンタクト」や「異世界」なんてものが描かれているのだから。

 しかし、それと同時に濃密でかなりサディスティックなレズビアンの世界も描かれているのである。

 読み終わって印象に残っているのは、そっちの濃密な世界のほうだ。あけすけで、変態っぽい数々の名場面のみ頭に残っている。なんておバカな世界。笑える。表紙もバイブ持ってるし。

 男性からしてみれば、美しい女性同士が絡み合うレズビアンの世界は嫌じゃない。同性愛者ではなくても許容範囲だ。しかし、ノーマルな女性の方からすればレズビアンの営みは嫌悪の対象なのではないか?だって、ノーマル嗜好の男性を代表させて意見をいわせてもらうなら、ホモなんてまっぴらごめんだもの。

 好き好んでそういうのが描かれる作品は読まないもの。だから忠告しておこう。

 本書は真正レズビアン小説集であります。それにちょっとサドマゾも加味されています。男性はその限りではありませんが、女性の方に関しては取り扱いには充分注意してください。しかしSFとしての体裁は保っておりますので、その方面のおもしろさもなきにしもあらずでございます。どんでん返しとまではいきませんが、ラストで少し反転するような作品もございます。全編に漂うユーモアもなかなか健全なもので、設定で笑わせるものから自虐ネタまで色とりどりでございます。「ああ、お姉さま」「かわいい子ね」「後生ですから・・・」これらのキーワードにピクリとでも反応された方は安心して本書をお召し上がりください。

 こんな感じでいいんじゃない?