読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

水鳥

水管橋の上に大きな水鳥がとまって

いつになくその姿に惹きつけられたぼくは

飽くことない欲求の眼差しで

穴のあくほど、その水鳥を見つめ続けていた

その鳥は長い嘴と大きな羽をもった小憎らしいくらい優美な姿で

じっとぼくを見返している

ぼくたちの周りには静寂の時が漂い

まるで匂いすらも凍りついたような空虚な場面を切りとっていた

水鳥の真摯な目

ぼくの目に突き刺さって頭の奥が痛くなる

ぼくは明日も此処に来るだろう

お前に会いに来るだろう

そしてお前のその揺るぎない静かで清らかな眼差しに

嘘と絶望を晒すことだろう