読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

「マイ・ベスト・ミステリ10(海外編)」

 本楽大学ミステリ学部において、しろねこ学校長から課題が出されたわけですが、その中に『マイ・ベスト・ミステリ』なるものがありましたね。おもしろそうではないですか^^。本読みの一員として、こういうマイ・ベスト企画ってのは大変魅力を感じます。

 しかし、ぼくはいままでこういう通読に対してのベストってのをしたことがなかった。年間べストは何度かやったことがあるんですが、いままで読んできた中でっていう大きな括りでのベストは個人的にも選出したことがありませんでした。しかも、今回はこういうベスト企画にうってつけのミステリという大変魅力あるジャンルでの選出というわけで、いつになく興奮しております^^。

 というわけで今回は、いままで読んできた海外ミステリの中からのマイ・ベスト10を発表したいと思います。

 尚、今回の選出はミステリというカテゴリの中で本格という縛りにとらわれず、広義のミステリとしておもしろかった作品のベスト10ということで選んでみました。だから、不服、不満、色々な意見があろうかと思われますが、大目にみてください^^。

 では、さっそくいってみましょうか。


◆第10位◆ 「ファイナル・オペレーション」J・R・マキシム/ 白石 朗訳/新潮文庫

 これはいわゆるジャンルミックスのおもしろさをこれでもか!とわからせてくれた作品ですね。ベースはスパイ物なんですが、スパイ物の嫌いなぼくが読んでこれだけおもしろかったんだから、ミステリ好きの方ならみんな楽しめる作品だと思います。どこへ行き着くのか見当もつかない物語展開に快哉を叫んでしまいました。


◆第9位◆  「フロスト警部シリーズ」R・D・ウィングフィールド/ 芹澤 恵訳/創元推理文庫

 正直、無駄に長い作品が多い中このシリーズだけはもっと長くしてくれと思ってしまいます^^。下品でドジで行き当たりばったり、でもそんなフロストがとても魅力的で、いつまでも彼と共にデントン市を駆け回っていたい。加えてモジュラー型とよばれる複数の事件が同時進行で描かれる構成の巧みさには舌を巻いてしまいます。もうそろそろシリーズ4作目が出されるんじゃないかと首がちぎれそうなほど長くして待っているんですが・・・。


◆第8位◆  「ウッドストック行き最終バス」コリン・デクスター/大庭 忠男訳/早川文庫

 のちに開眼する頭から煙の出るような推理迷宮は、まだこの作品では堪能できません。しかし、その萌芽が芽生えている本書にはオーソドックスな純粋推理の美しさが前面に押しだされていて、一読忘れがたいものにしています。天才肌のモース警部の思考過程は当時のぼくにはかなりのインパクトを与えてくれたものでした。


◆第7位◆  「警察署長」スチュアート ・ウッズ/真野明裕訳/早川文庫

 ミステリというジャンルでは収まりきらない傑作小説。アメリカ南部の小都市を舞台に40年にもわたる歴史を追体験するという偉業を成し遂げたウッズの出世作です。連続殺人がメインミステリとして描かれるのですが、それ以上に心に残るのが南部特有の人種差別。行き場のない怒りに身が震えます。どうぞ長さに臆せず手にとってみて下さい。おもしろさは保証します。上下巻一気読みになること間違いないでしょう。


◆第6位◆  「星を継ぐもの」J・P・ホーガン/池 央耿訳/創元推理文庫

 SFジャンルにもミステリとしてのおもしろさを兼ね備えた作品が数多くあります。そんな中で、数ある本格ミステリに充分対抗しえるのが本作なのではないでしょうか。月面で発見された真紅の宇宙服を着た死体。しかしその死体は5万年前に死亡していたらしい。いったいこの死体は何者なのか?どうして月面で死んでいたのか?いったい彼はどこからやってきたのか?う~ん、これは今思い出しても興奮が蘇ってきます。本書を読んでいた数日は、脳のシナプスが何割か増えたんじゃないかってくらい興奮しましたね^^。


 というわけで、10位から6位の紹介がすみました。結構長くなったんで続きは明日にしようかと思います。下位5作はオールタイムベスト級の作品ばかりでなく、ぼく個人の趣味が反映されたものとなりましたが、明日の上位5作は、やはり往年の名作、傑作がほとんどを占める結果となりそうです。でも、へそ曲がりのぼくのことですから、案外意外な作品が出てくるかも知れません^^。それでは、続きはまた明日の夜中に!