あれ?これ、結構イケてるじゃん。
登場人物は、ほとんどがアニメの『萌え』キャラなのに、なんなんだこのしっかりした世界観は。
それに、本格物としてもいい線いってると思う。確かに最初の密室に関しては、見え透いたトリックですぐにわかってしまったけど、それ以降の第二の密室からラストの真相解明までの件はすっかりダマされてしまった。だから、ほんとはライトノベルに分類しようかと思っていたのだが、最終的には国内ミステリに分類させてもらった。
本書は、しっかりちゃっかりほんとに間違いなく本格ミステリなのである。
ぼくは、この西尾維新って人ちょっと見くびってた。はっきりいって何が戯言だなんて思ってた。
でも、やっぱり食わず嫌いはいけませんね。いままでメフィスト賞物は何冊か読んできたが、その中でも本書は一番本格してたんじゃないかと思う。(←でも、「すべてがFになる」「ドッペルゲンガー宮」「UNKNOWN」「真っ暗な夜明け」「火蛾」などは未読^^)
ちょっと好きかもしれない。この世界、嫌じゃないもの。もう、ぼくの心の中では次の「クビシメロマンチスト」読む気になってるもの^^。
いやあ、また遅れてきた読者になってしまうなー。こりゃあ、ゆきあやさんに感謝ですね。まるっきりありえない状況で、ありえない人物を配し、しかもそれをしっかりした世界観で描きつくしているところに本書の魅力はある。登場人物たちの役割が収まるべきところに収まっていて、尚且つそれを逆手にとった展開にもっていくところなど、新人らしからぬ手際だと思った。
そしてなにより感心したのが、この作者生粋の小説読みだったのだ。この人が、これだけ色々な作品を読み込んでいるとは思ってもみなかった。ぼくとしては、もうそれだけで全面的に支持なのだ^^。
とにかく、予想外に本書はおもしろかった。どういう展開になるのかは知らないが、しばらく追ってみようと思った次第である。