99年度版「このホラーが怖い!」で海外ホラー小説部門の第一位を獲得したのが本書だった。
といっても、このランキング正統なホラー(恐怖譚)としての成果を如実にあらわしたものではなく、それが証拠にこの時の二位はキングの「グリーン・マイル」だったりする^^。
それはさておき、エイクマンといえばまとまって紹介されたことがなかった、いわば忘れ去られた作家だったのだが、国書刊行会の『魔法の本棚』シリーズで陽の目をみる形となった。正統な英国ゴースト・ストーリーの書き手として、同シリーズにも名前のあがっているH・R・ウェイクフィールドと双璧を成す重鎮であるにもかかわらず、時代の移り変わりとともに消え去りかけていたのが見事復活を果たしたというわけなのだ。
ホラーに目がないぼくとしては、やはりこういう正統派の恐怖譚も押さえておきたいのでとりあえず読んでみた。伝統的な怪談話の雰囲気があり、落ち着いた語り口が解決をみない謎をいっそう引き立てる。う~ん、ぼくの好みではない。はっきりいって、あまりピンとこない。表題作のみ唯一読んでる途中怖さを感じたが、それもラストに至ってもろくも崩れさった。
この短編集にはゴースト・ストーリーというより、日本でいう『妖怪』を扱った作品が多い。得体の知れないものである。これはイケナイ。こういうのをもってきてはいけない。一気にテンションが下がってしまう。英国伝統のゴースト・ストーリーを期待していたのだが、どうも違ったようである。
本来なら、これだけ痛いしっぺ返しをくらわされた本は古本屋行き決定なのだが、本書は装丁がなかなか素晴らしいので処分せずに手元に置いてある。
こういう性分だから、どんどん本がたまっていくんだなぁ^^。