えーっと、一応国内ミステリの書庫に分類したけど、これはミステリじゃないよね?
犯罪が描かれているという点ではもちろんミステリの範疇だけど、実際本書にミステリとしてのサプライ
ズはない。おそらく第二作も書かれるんだろうが、この終わり方からみると続きの物語が語られるのか
な?本書で描かれる犯罪は、なかなか猟奇性にとんでいる。赤ちゃんが生まれたばかりのぼくにとって、
これはかなりショッキングなものだった。読んでいてどうしても我が子に目がいってしまった。
それはないでしょう。そういうことしちゃいかんよ岡崎君。乳幼児にそんな酷いことしちゃダメだって。
子供たちのダークサイトだとかいって、本書にそれを規制するような告発や、戒めるような警告はない。
ただ単に殺戮あるのみだ。それも、とびきり凄惨なやつね。
スタイルと方向性は、舞城君や佐藤君に拠るところが大きい。特にローカル色を最大限に活用して独自の
世界を構築してるところなど舞城君の影響大だし、異常な猟奇性と主人公の言動心理は佐藤君のスタイル
の模倣といってもいいだろう。
だから、この凄惨にして異常な物語はインパクトという点ですでに前二者の作品に接しているものにとっ
て目新しいものではない。
それでも最後まで読んでしまったということは、話の筋として興味が持続したからでありその意味では
本書は充分おもしろかったのだ。う~ん、どうなんだろ?とりあえず、次作待ちというところか。
それにしても、フッ切れた話だったなあ。