読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

テリ-・ホワイト「真夜中の相棒」

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 やりきれない話ではないが、救いのない話である。正直いってとても辛い話なのだ。

 本書の結末がけっしてハッピーエンドではないのは最初からわかっている。だが、どうしても見届けたい、この三人のアウトロー達の行く末を見ておきたいと思わせる何かがあるのだ。

 血と硝煙にまみれた都会の闇の世界。ベトナム戦争の後遺症によって精神を病み、純真ながらその純真さゆえに自分という概念をもたず、依存と従順だけで生きてゆく青年。その青年とともに生き、身の破滅を予感しながらどうにもできず、その孤独感を埋めるように青年と身を寄せ合って生きる男。相棒を青年に殺され、家族も仕事もなくし自分の信念だけを頼りに青年を追う刑事。

 三者それぞれみな、どうにもならない孤独感を内に秘め物語は終焉にむかう。

 物語の進行はスピーディーだ。登場するのは男ばかり。これが女性の手になる作品だというのが、うれしいではないか。