読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

手袋があったよ

負けるときが多くなった。

なにに対しても、引き下がることが多くなった。

どうしてだろう?

まえは、怖いことなんてなかったのに。

怖いなんておもったことはなかった。

なのに、いまではいつも自分の立ってるところを守ろうとしている。

うれしい、かなしい、つらい、くるしい。

いろんな感情があるけど、

いつしかそんなことも忘れてしまった。

家路をいそぐ人たちの背中には、

重いため息が乗っかってる。

ぼくの背中も、あんな風に見えてるのかなあ。

いつもいつも考えてること。

言葉に出してみれば、なんでもないこと。

でも、それが一番大切なのかもしれない。

忘れていた大事なもの。

なんでもないのに、とても大事なもの。

ねえ、母さん。

ぼくには、母さんのくれた手袋があったよ。

いつもあったかい、母さんの手袋があったよ。

忘れちゃいけないんだ。

ぼくには、母さんがくれた手袋があったんだよ。