まず、本書の主人公である象牙が実在のものだということに驚いた。
本書の冒頭には一枚の写真が載っている。
どうですか、この写真。化け物みたいな象ではないか。マンモスなんじゃないの。
その象牙がたどる6千年以上の歴史を見事に描き出し、ロマンあふれる物語にしたのが本書なのである各章それぞれが独立したエピソードで成り立っているのが、興をつないでおもしろい。
エピソードがそれぞれ素晴らしい。良質のミステリに似た謎解きあり、壮大な宇宙ロマンあり、自然に対する人類への痛いメッセージあり、マサイ族の誇りに満ちた悲しい歴史ありと、みな深く印象に残った。
とても余韻の残る物語だった。これを読んでレズニックが大好きになってしまった。
彼の最高傑作といわれる「キリンヤガ」は未読だが、これも近いうちに読みたいと思う。