読書の愉楽

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小野不由美「風の海 迷宮の岸」

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 ええ話やなぁ。今回は麒麟が主人公である。

 

 麒麟は、胎果から麒麟へと変貌する生き物。今回は、その胎果が主人公だ。

 

 彼が麒麟として目覚めるまでが、本書の大半のあらすじである。

 

 妖魔を折伏する術をしらず、麒麟に転変もできないこの心優しい少年泰麒が本当に王を選ぶことができるのか?

 

 やはりファンタジーは、成長の物語でなければならない。泰麒が麒麟として成長する過程は劇的。

 

 麒麟に転変して、王を選んでからも物語は終わらない。また、そこに苦悩があるのだ。

 

 読み手としては結果はみえているのだが、結局作者に振り回されることになる。ほんと、やきもきしてしまうのだ。また、その描き方がウマイ。

 

 本書を読んで、あらためて十二国の世界がうまく作られていることに舌を巻いた。

 

 想像力は力である。ほんと素晴らしい。