夢のいっぱい詰まった本だ。
トールテールの伝統を受け継ぎ、まるっきりのホラ話なのにそれが奇妙にしっくりくる。死にゆく父と、それを見守る息子二人の関係は普通のそれとは違う。父はジョークとホラ話しか口にしない。それでいて誰からも愛されている。彼の語る話には夢がある。どことなくおかしくて、やさしくて少し不気味なところもある。とにかく読んでいて楽しい。イエスのジョークなんか最高だった。思わず誰かに話したくなってしまう。
読み終わって気づいたのだが、本書は短編の寄せ集めなのだ。それもとびきりおもしろい短編ばかりなのだ。ほんとにいい数時間を過ごさせてもらった。