この本が出た時、出版社もあまり知らないところだし、作者も知らないし、表紙はダンボール箱かぶった少年だし、正直いってほとんどバクチのつもりで読んでみた。
これが当たった。とてもおもしろかった。
本書は小説ではなくて、回想録。
う~ん、とんだ回想録もあったもんだ。こりゃ、小説よりブッとんだ内容だ。
登場人物はみなアーヴィングの小説を地でいくような奇抜な人たちばかりだし、起こる事件の数々は映画を観てるようにドラマティックだ。
愉快で、おもしろくて、でも切れ味鋭いナイフみたいに痛いところもあって、とにかく読ませる。
特に気に入ったのが、独創的な比喩の表現。まったく新しく、的を得た表現に思わず唸ってしまった。
笑いと、厳しさと、クールさ、そしてほのかな憧れを抱かせるこの本が愛しくてたまらない。
これは、オススメです。