読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

オーガスティン・バロウズ「ハサミを持って突っ走る」

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 この本が出た時、出版社もあまり知らないところだし、作者も知らないし、表紙はダンボール箱かぶった少年だし、正直いってほとんどバクチのつもりで読んでみた。

 これが当たった。とてもおもしろかった。

 本書は小説ではなくて、回想録。

 う~ん、とんだ回想録もあったもんだ。こりゃ、小説よりブッとんだ内容だ。

 登場人物はみなアーヴィングの小説を地でいくような奇抜な人たちばかりだし、起こる事件の数々は映画を観てるようにドラマティックだ。

 愉快で、おもしろくて、でも切れ味鋭いナイフみたいに痛いところもあって、とにかく読ませる。

 特に気に入ったのが、独創的な比喩の表現。まったく新しく、的を得た表現に思わず唸ってしまった。

 笑いと、厳しさと、クールさ、そしてほのかな憧れを抱かせるこの本が愛しくてたまらない。

 これは、オススメです。