読書の愉楽

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ジョン・チーヴァ―「チーヴァー短篇選集」

チーヴァー短篇選集 (ちくま文庫ち-21-1)

  作家受けする作家なそうな。ジョン・アーヴィングレイモンド・カーヴァー、ぼくの大好きなチャールズ・バクスターなどなど名だたる作家たちからの熱い支持を集めているらしい。一読したところ、チーヴァーの描く世界は、われわれの生活とあまり変わらない現実に即した世界を舞台に人生の辛苦や悲哀を描くもので、どことなく辛辣な雰囲気の濃い作品が多い。

 好みからいえば、ぼく的にはさほどではない。雰囲気はいいと思うが、最後に悲劇がまっているパターンは一度目はいいが、何回も続くとまたかと思ってしまうし、人生を語る上でこの人のもっている信念はあまり共感できるものはなかった。

 この作家特有の匂いとして、たとえばルシア・ベルリンなら『自由に書くという縛られない方法をこれだけあけっぴろげに、且つ斬新に驚きをもって与えてくれる小説はない』と感じたし、エイミー・ブルームは『家族の問題、性の問題、モラルの問題、精神の問題、様々な今のアメリカの腫瘍部分が露出され、尚且つそれを深刻ぶらずに語る手腕に舌をまいた』し、大好きなバクスターなら『作者の目がつねにやさしさをもって世界を構築し、人間の真の心を描いている』と感じたようなその人が放つ独自のものとして感じられないのだ。

 なんだろう?抑揚を感じないのか。世界観が違うのか。感情の伝わり方が独特なのか。どれもそのようであって、どれもそうじゃない。うまく言葉にできないがこの作者は、好きじゃない。いくら玄人受けしようが、ぼくは受入れられなかった。あまりこういう感想になることは少ないんだけどね。