
いまいちノレなかったな。田舎の女子高生の話なのだが、どうも刹那的でいけない。主人公である朴秀美は、引きこもりの弟と、何かと鉄拳をふるう父親とそれに追従する母親、そして半分ボケている祖母の五人家族。
茨城の田舎という閉鎖的な空間で(行ったことないから、実際知らんけど)、落ちこぼれの集まる工業高校に通う彼女はほとんどが男子生徒の教室で、もう一人の冴えない女子岩隈真子と仕方なくつるむ毎日。もう一人いる矢口美流紅(みるく)はクラスの人気者グループに属し毎日、明るくうるさく過ごしている。こんな三人が大麻を栽培して売り捌くという闇ビジネスに手を染めていくのだが、まずね主人公の朴秀美が開巻早々アトウッドの「侍女の物語」を読んでいるのですよ。そして、間に挿入される「侍女の物語」の文章。お?こんな女子高生いるのか!と少しの違和感。朴はSFが好きで、ヒップホップの仲間内でのMCネームはニューロマンサー。矢口も見かけによらず映画文化には超絶詳しくて、リスペクトも半端なくその知識は尋常ならざるものがある。岩隈も漫画に拠り所をもとめる毒舌家で大島弓子の「綿の国星」は、すべてのセリフを暗記するほど何度も読んだという。こんな三人が出会う?なんか、その違和感が読んでいる間ずっと頭の片隅にあって、ノレなかったんよね。
でも、話的にはかなりおもしろく、絶望的な展開が何度もあるけどそれを跳ねのける彼女たちの若さとエネルギーに興奮した。結局話的には、オール・グリーンにはなっていないけど、それはそれでま、いいかとも思える。映画化されるらしいので、それを観てみたいと思わせる面白さはありました。しかし、ハーヴェイ・ミルク知っている女子高生ている?マチズモ知っている女子高生いる?ミンストレルショー知っている…いや、ここらへんでやめておこう。自らの無知を女子高生に重ねてさらけ出しているではないか!
とにかく、おもしろかったし刺激は受けたけどって話。なんか納得いかないんだよねー。生きていく上で通ってくる道が違いすぎたのか?自分が知らないだけで、世の中はこんなに文化的に成熟しているのか?田舎の女子高生でさえ?
あんまり考えないで映画楽しみにしていよ。