やはりすごいリーダビリティなのだ。短い章割りでしかも章の最後一行でえ?え?てなるから、どんどん読んじゃう。しかし、面白いだけですまないのである。本書で扱われている事件はかなり曲がりくねった事件であり、それが内包する人間のダークな面もことさら強調されて、なかなかの陰惨ぶりなのだ。
しかし、前回「ボタニストの殺人」でも書いていたが、このシリーズここへきてすごくライトになってきているのである。それは、ミステリとしての結構や物語自体の奥行き、登場人物たちの動向にいたるまですべてにおいて感じることで、何がどうとか言えないのだが全体から受ける印象がそうなのである。それでも先に書いたようにストーリー自体の訴求力は半端なく、謎が次から次へとたたみかけられるので、忙しいったらありゃしない。でも、その謎にしてもいったいどうしてそれをしなければいけなかったのか?と言う動機の部分が弱かったり性急だったりで落ち着いて考えると、れれれ?となったりする。
だが、おなじみのメンバーはいつもの通りだし、窮地に立たされても取り乱さないポーやワケのわからない理論を大真面目に披露するかと思えば感情のコントロールがままならなくなってしまうティリーや、自信にあふれポーへの愛を惜しまないドイルなどの面々に会えてうれしいし、ワクワクするのもしかり。ラスト近くの何回あるの?ていうくらい繰り出されてくるどんでん返しも健在で、途中まではおそらくそうなのだろうと予測つけて読んでいたけど、それのあとにまだニ回も驚きが残っていたので心底驚いた。
なんやかんや言っているが、次が出たらまた読むよ。第一にこのシリーズ好きだから。書き方が姑息だなと思いながらも読むよ。その後に待っている驚きが好きだから。なによりポーを取り巻く仲間たちが一番好きなんだけどね。
