持ち前のビビッと感で買ってたんだよねー。新刊で買ったから平成6年だって、もう三十年以上前じゃないの。収録作は以下のとおり
「潜在光景」
「八十通の遺書」
「発作」
「黒い血の女」
「鉢植を買う女」
「鬼畜」
「雀一羽」
まあ恐怖小説集と銘打ってありますが、清張作品ですので人間自体の理不尽さや残酷さが強調された作品が並んでおります。
表題作は、因果応報の変格版ともいうべき作品で、追いつめられる主人公はいつものごとくなのだが、なんと彼は六歳の男の子に強迫観念的な恐怖を持ってしまうのである。いったいどうして大人が子供に?ま、そこがこの短編の要であって、男の過去が浮かび上がってくるのだが、まったく清張さん容赦ないです。こういうテイスト嫌いじゃないけど。
続く二作は小品。これも追いつめられた人間の悲しい性のようなものが表出する。タガが外れるという言葉があるが、魔がさしてタガが外れると人間ってこういうことになっちゃうんだよね。
「黒い血の女」と「鉢植えを買う女」の二作はタイトルからも察せられるとおり、こわーい女性が描かれる。得てしてこういう作品では振り切ったとんでもない女性が登場するし「黒い血の女」などはその典型で、まあよくそこまでできますねというとことんまでヤッちゃう女性が登場する。しかし続く「鉢植えを買う女」のほうはなんとも不気味な話で、これもある意味振り切っているのだが、どちらかといえば「静」という感じで淡々としたところが印象深い。どちらにせよ、男ってバカよね。ぼくもだけど(笑)。
「鬼畜」はいわずと知れたあの度肝を抜かれた映画の原作でございます。映画は観たことがあって、ラストもよく覚えている。でも原作とのギャップに驚いた。映画の余韻は素晴らしかったんだけど、原作はこんなあっさりだったんだね。「砂の器」と同じで、これは映画の脚本家の勝利だと思います。
ラスト「雀一羽」は、綱吉の有名な生類憐れみの令が招いた悲劇を描く。あまりにも理不尽な出来事なのだが、この処遇をめぐっては現代でも充分通用するもので、まあこれほどの悲劇にはならないだろうが、いつ我が身にふりかかるかもしれないという恐怖は残る。
以上七編おもしろかったー。清張やっぱり凄いわ!
