長い積読期間を経てつい先日「GOTH」を読んで改めて乙一の凄さを嚙みしめていたら、なんと偶然にも彼のダークなホラー傑作集が刊行されたので、我慢できなくて読んじゃいました。収録作は以下のとおり。
「階 段」 乙一
「SEVEN ROOMS」 乙一
「神の言葉」 乙一
「鳥とファフロッキーズ現象について」 山白朝子
「〆」 山白朝子
「呵々の夜」 山白朝子
「首なし鶏、夜をゆく」 山白朝子
「子どもを沈める」 山白朝子
「Wi-Fi幽霊」 乙一 ※書下ろし
もうね巻頭の「階段」でキリキリしちゃうんですよ。緊張の糸が限界まで引っ張られて、綱渡り状態なんですよ。もうやめて!って思っちゃうんですよ。この作品の緊張感たるや息をするのを忘れちゃうくらい。
「SEVEN ROOMS」と「鳥とファフロッキーズ現象について」は、既読だったけど細かい部分は忘れていたのでまた楽しんで読めました。容赦ないよね。振り切ってるっていうか、突き詰めているっていうか、いくとこまでいっちゃうからおもしろいんだろうね。かつて、こんなシリアルキラー物あった?いゃあ、ないない。監禁物としても傑作だよ「SEVEN ROOMS」は。ファフロッキーズのほうは鳥ありきな話であって、それがないと始まらないのだがよくこんな展開になるなと驚く。あとシリーズ物のようだが「呵々の夜」の怖さが良かった。道に迷って辿り着いた山中の一軒家で、どうにか泊めてもらうことになったまでは良かったのだが、そこに住む親子が夜長の遊びをしようと思っていたと言うのである。一人づつ怖い話を披露するからどれが一番怖かったかあんたが決めてくれと。そうして始まった怖い話なのだがどうもおかしい。それぞれが話す怖い話の内容よりも、その家族自身の不気味さがどんどん強調されてゆくのである。実体があるのに得体の知れない恐怖が濃厚になってゆく過程がゾクゾクする。
表題作は、いまの時代だからこそ書けた怪談。携帯の電波が届かないはずの山奥のキャンプ場でなぜか繋がるWi-Fi。そのSSIDには見たこともない文字列が並んでいた。それから始まる奇妙な出来事。SNSでも、自分と同じようにあり得ないWi-Fiにつないで命を落とした人や行方不明になった人の話がでてくる。たまらずAIに助けを求めたら、まともな解答が返ってきて…という話なのだが、これは予想もつかない展開が楽しい。怪異も不気味だし、こんな目にあったらほんと、どうしましょ!
言及していない作品もそれぞれおもろいです。容赦ない感じが素晴らしい。しかし、この人すべて一人称で書いてるね。そのほうが臨場感あるけどね。
