これ、シリーズの三作目だって。いわゆるバディ物なんだけど、出てくるのは度が過ぎて大阪府警のマル暴から追い出された堀内と伊達の二人。元マル暴だけあって、ヤクザでも鉄砲玉でもこわいものなし。いや、怖いんだろうけど、度胸が並大抵じゃない。
競売屋としてリスタートしている伊達に誘われて脅迫を受けているパチンコ店のオーナーを助けるためにバディとなる堀内。しかし、それが単純な話にはなるわけがない。昔の刑事のカンで、事態の終息に努めようとする二人だが、捜査(あえて捜査といおう)を続ける二人の前にあらわれる数々の難局。だが、昔取った杵柄ゆえそれをものともせず派手に立ち回る二人。いやあ、頼もしい。てか、ちょっとやりすぎ(笑)。
そりゃあね、元マル暴なんだからヤクザ顔負けなのはわかるけど、犯罪に手染めちゃダメでしょ。でも、そんな無茶苦茶なことやりながら、事態はなぜか終息に向かっていく。いや、普通なら、タダじゃ済まないっての!こんなことしてちゃ、命がいくつあっても足らないっての。
そういうとこ、いってみればドラマツルギーにのっとった、見栄え重視の数珠繋ぎ展開みたいなもので、読んでるほうは、面白いからどんどんページを繰ってしまうってわけ。でも、それってほとんどファンタジーといってもいい展開なんだけど、そこは作者の黒川氏が綿密な取材でもって物語を破綻させずにリアリティを持たせているから、均整がとれてるんだよね。
だから読んでいるほうも、安心して身を任せられる。物語世界にどっぷりつかって、読了時には、まるでヤクザ映画を観たあとに映画館を出た時のような高揚感にとらわれているのである。
いやあ、おもしろい。なかなかにしたたかなクライムノベルであります。