少年が、ホテルで刺殺される。彼の身辺を調べると自宅の地下室に女性を監禁していたことが判明する。しかも、彼は複数の女性を監禁し、鎖で繋ぎ風呂にも入れず糞便まみれにしてすきなときに凌辱し先に死んだ女性をミンチにしてドッグフードに混ぜ与えていたらしいのである。
前代未聞じゃね?どんだけヒドい事件なんだ!で、その事件の真相を探るのがかつて家裁調査官だったときに、その殺された少年を担当していた白石洛。彼はある出来事がきっかけで家裁調査官を辞し、今は家の家事全般を受け持って妹と暮らしているのだが、そんな彼のもとへ親友で刑事の和井田が事件の相談に来たところから物語ははじまるのである。
オビに『どんでん返しのサスペンスミステリ』って書いてあるとおり途中からもう一つ話が交錯してくるのは常套として、それが本筋とどう関わっていくのかがまったくわからない。なのにそちらの話のウエイトがどんどん増えてくるから、読んでるこちらとしては、見落としや真相が気になって気が気じゃなくなってくる。これが最終章でどう決着つくのだろうとホントやきもきした。
で、真相なのだがなるほどそうきましたか。個人的にはもっとカタルシスが欲しかったけどね。事件の悲惨さ、渦中の人物の本当の姿、白石のバックグラウンドと物語を追うには十分おもしろかった。手軽に読めるミステリとしてオススメです。