とりあえず、小説の表現の仕方っておもしろいと思いました。
可能性の問題なのですが、まだまだ模索する余地はあるんじゃないか、形式にとらわれなければもっと新しいことが出来るんじゃないかと思いました。
本書はテキストとして機能する不思議な小説です。
普通の小説とは違って、作者の意図する構図を読者が自身で組み立てていかなければならないんです。
登場人物はそれほど多くありません。
舞台も、ほとんどがタイトルにもなっているカーペンターズ・ゴシック様式の邸宅の中。でも、本書の大半を占める会話文が食わせものなんです。
まず、普通の小説のように誰が言ったかという言及がない。
まして、その会話自体が言いよどみ、くり返しなどに満ちていて、スムーズにいかない。かてて加えて会話と記述が明確に区分されていなかったり、会話している人たちのいる部屋にあるテレビでやっている映画の役者のセリフが紛れ込んだり、ほんと一筋縄ではいかない小説なんです。
最後まで明かされぬ謎も多々あり、これほど読み手の数だけ解釈のある小説もめずらしいのではないかと思いました。
この本、短い本なのにほんと疲れますよ、脳みそが。