読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

ジャネット・ウィンターソン「さくらんぼの性は」

イメージ 1

ユーモアと奇想に満ちた、ぼく好みの作品でした。

とてつもないホラ話が歴史の真実とうまくブレンドされ、読者を巧みに幻想の世界へと誘ってくれます。

多くのメタファーと、哲学的な登場人物たちの思考、それに時空を飛びこえてしまう脈絡のない構成と

本書の特徴を並べてみると、なんと難しそうな本なんだと思ってしまうでしょうが、それがまったく気

にならないんです。

はっきりいって、そんなこたぁどうでもいい。

象をも打ち負かす犬女のパワーショベルなみのド迫力と、愛すべき翼のない天使のジョーダンが語る、

素敵でグロテスクな物語を充分に堪能できれば、それでいいんです。

ファンタジーの奇想と、その影にかくれながらも強く訴えかけてくるエコロジーへの痛切な叫びが、妙

に胸に迫ってくる不思議な作品。

本作は、現代イギリス文学を代表する女流作家の手になる素敵な寓話です。

読めば必ず、小躍りしたくなるほどうれしくなってしまいますよ。