七つの大罪の悪魔が出てくるということで、黙示録的なデモーニッシュな内容なのかと思っていたんで、あまりにも好印象な悪魔たちにびっくりしました。
なんといっても暴食を司る悪魔ベルゼブブが最高。ぼくはいままでこの蝿の悪魔に忌まわしい嫌悪感を抱いていたんですが、本書を読んでガラッと印象が変わってしまいました。
内容としては、七人の悪魔が地獄の大王に任命されて様々な時代のいろんな国に赴き、それぞれの特性をいかした罪で人間を陥落させるというもので、ジル・ド・レイ夫人や西太后あるいはポンペイの町と我々のよく知っている有名どころから、ヴェネツィアの財務官やカリブ諸島の提督などあまり馴染みのないものまで時代や国が移り変わりまことに楽しい。歴史的事実に虚構をからませ、実はこういうことだったと話をまとめるところなど山田風太郎の明治物にも似た味わいがあり、ほんと楽しく読了しました。