読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

とりあえず。

 ぼくの読書歴を紹介しておきましょう。小学校までは、読書なんてマンガしか読んでませんでした。転機が訪れたのは、中学三年の冬休み。

 何気なく寄った本屋の平積み台に、山田風太郎の「伊賀忍法帖」が置いてありました。当時、丁度その本が映画化されてたんです。本の表紙には炎に包まれる真田広之と渡辺典子の映画スチール。まったく小説に興味のなかったぼくは、その表紙だけに惹かれて本を手にとりました。

 そして、表紙をめくってカバーそでの本文紹介を読んだぼくは、その場に凍りついてしまったんです。

 中三といえば、多感な時期。性への関心も人一倍。そんな時に、ぼくの眼に飛び込んできた紹介文はあまりにも刺激的でした。

 一気に鼻息荒くなったぼくは、迷わずその本をレジにもっていったのでした。

 そう、ぼくの読書初体験はエロ目的だったんです(笑)。

 なんて不純な動機でしょう。モチベーション低すぎ。

 しかし、しかしです。この山田風太郎只者じゃあなかった。その時の読書体験はまさに至福の体験でした。確かにエロ目的で読みはじめたんですが、のっけからそんなこと忘れさせるくらいにおもしろかった。そう、鼻面をつかまれて引っ張りまわされたって感じでしょうか。読了した時には半分放心状態になっていました。

 こんな世界があったのか。こんなにおもしろくて、寝食忘れさせるような世界があったのか。読書の愉楽にどっぷりハマった瞬間でした。

 それからは、まだまだ本屋の書棚にたくさん並んでいた角川文庫の山田作品(あのピンクっぽい背表紙)を軒並み読破。小説の神様の神技に酔いしれました。

 さて、今日はこのくらいにしておきましょうか。

 続きはまた次の機会に。