読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

詩をたしなんだりして

眠り男

眠たい 眠りたい ゆっくり、なにも考えず 眠りたい 頭が痛い すごく痛い 割れそうに痛い 暗い とても暗い なにも見えないくらい真っ暗だ やわらかい草の上に寝転んで 真っ青な空を見上げたい やがて雨が降って、ずぶぬれになっても そのままでいたい ずっと…

夏を思い出すもの

夏を思い出すもの ラジオ体操 麦わら帽子 冷えたコップについた水滴 舌を出してる猫 あなたの知らない世界 しょうがをどっさりかけたきゅうりの古漬け 川遊び 待っていてくれた彼女 大きな入道雲 クヌギの木 逃げ水 ホームランバー 誰もいない教室 先生と行…

神様はいるのかな

つまるところ、そういうことなのかな 情に流され、正直でいるものが馬鹿を見る 平気で嘘をつき、私利私欲にまみれたものが生き残る ねえ、父さん 神様っているのかな? 世界では罪のない子がたくさん死んでるよ なんの影響も持たない無害な人が殺されてるよ …

君が忘れていったもの

片付け上手な君が たったひとつ忘れているもの 歯を磨きながらしゃべったり 人の話を聞かなかったり 寝ているときに大きな寝言でびっくりさせたり いろんなことで笑わせてくれる君だけど 部屋の掃除だけはきちんとしていた君 そんな君が忘れていったもの そ…

ずっとずっと

よく泣くね なにも出来ない君 いつも、しかめっつらして 小さな手は何をつかもうとしてるの? 時々澄ました顔をするね じっとして どこかを見つめて 何を笑ってるの? 寝てる君を見てると不安になるときがあるんだ あんなによく動く手足が止まってるのが信じ…

せつないが二つ

ところであなたは 怒っているのか 泣いているのか 歯ブラシ一つと、ちぎれたボタン それがぼくの全財産 心が楽しむ素敵な音楽 ぼくが与える唯一の喜び あなたはわかっちゃいない てんでわかっちゃいない

一段登る

次のステップ もう一段階上の自分 はやくなりたいけど なかなか乗り越えられない大きな段差 勇気とか、努力じゃない そんなものは必要ない ただ一歩踏みだせばいいんだ それだけでいいんだ でも、それが難しい そんな簡単なことに何年も時間をとられてしまう…

いま、このときを

津波にのまれてしまって、すべてが埋没したら なにもかもが消えてしまって、みんないなくなったら 空から隕石が落ちてきて、地球を破壊してしまったら そんな日がくるとしたら そんな日がくるとしたら そんな日がくるとしたら ぼくは、 ぼくは、 ぼくは、 何…

大きな木

晴れた空は 明日に向かって伸びていく 点在する雲の影は ぼくの心をかき乱す 君は誤解してるよ ぼくはケチな奴なんだ 自分をよく見せたいし 人に頼ってしまうし、非を認めない 往生際の悪い性格なんだ それでも、いっぱしの口をきいて、人に意見したりする …

ぼくの気持ち

ついさっき ぼくの心を蹴飛ばしたよね? バス停では、あんなこと言ったけど 本心じゃないんだよ 口をとがらせたキミは可愛かった 伏せた目のまつげの先に光が宿って、とってもキレイだった ため息ばかりついていたのは 退屈だったわけじゃない ぼくの気持ち…

はじまりの朝

静かな朝まだき 明るみはじめる窓の外 ぼくは、いつになくはっきり目が覚める そんなとき 大きな力がぼくを支配する なんでもできる そんな気がする これから始まる一日 動き出す外の気配に 心がさわぐ そんな素敵な時間のなかで 悲しいこと、つらいこと、腹…

切りとられた風景

切りとった風景に馴染んで君が笑ってる 細められた目と、白い歯 軽く腕を組んで、自然に笑う君は とても幸せそうだ 舞い落ちる桜の花びら 土塀に囲まれた狭い道 どうしてこんなところで写真を撮ったのだろう どうしても思い出せない やさしい笑顔をみせる君…

ユリサントの世界

雨あがりの道は、いつもより重たく感じられ 世界もみんなモノトーンに沈んでしまって 動きがない景色にとらわれたぼくは 咳を一つして 大きく伸びをした 湿っぽい空気は身体にまといつき まるで水中で動いてるみたいに気だるい フィッシュボーンにある大きな…

ノスタルジア

月が西の中空に浮かぶころ 懐かしい記憶がよみがえる 夜の運動場 青白い白熱灯 文化祭前夜のあわただしいひととき 自分が一番だと思ってたあの頃 負ける気なんてしなかった 自転車の後ろに乗った君は ぼくの背中に顔を押し付け いい匂いがするって言ってた …

夕暮れの情景

うつむく君の首筋に 流れる銀のくさり、さらさらと 夕暮れの歩道に並んで二人 細くふるえる指先が愛しい 悩んで、泣いて、けんかして ウソをついたこともあったね 犬を連れた老人 お母さんと手をつないでる子ども 普通の風景に溶け込んで 平凡な毎日が流れて…

とどかぬおもい

交通事故の夜、ケンカした。 いつのまにか、ぼくは泣いていた。 血のにじんだ君のブラウス。 すまないってひとこと言えばよかった。 好きだと言ってあげたこともなかった。 オレンジ色の街燈に浮かび上がった君の横顔。 よく笑った口元に滲んだ赤。 すまない…

手袋があったよ

負けるときが多くなった。 なにに対しても、引き下がることが多くなった。 どうしてだろう? まえは、怖いことなんてなかったのに。 怖いなんておもったことはなかった。 なのに、いまではいつも自分の立ってるところを守ろうとしている。 うれしい、かなし…

風に乗って

崖っぷちに立って、はるか遠くを見渡す 穏やかな海は、太陽を反射して きらきらと賑わしい どこまでも平和な景色 温かい風がやさしい うん、いい風だ 飛ぶのにちょうどいい ぼくは一歩前にふみ出す そのまま風に乗って海の上空へ やましさも、後悔も、ささや…

君をわすれない

どこかから聞こえてくる姿の見えない鳥のさえずり。 ゆがんで、もうはめることのできない指輪。 擦りむいて血のにじんだ膝小僧。 忘れることのできないメロディ。 君をわすれない。 宝物のような君。 かすかに漂う焚き火の匂い。 せきをした拍子に飛んでいっ…

「ベイルマンとの会話」

ベイルマン あなたには、ほとほと困ってるんですよ ゆっくり話もできやしない いつも一方通行だ 忠告してあげますよ その話し方はやめたほうがいい 絶対大きな失敗をしでかしますよ さあ そんなに怒らないで ほら 外を見て もうこんなに暗くなってしまって …

きみのプライド

へたでもいいじゃん まがっててもいいじゃん はみだしてもいいじゃん きみがおもうとおりにやればいいんだよ そろってなくてもいいじゃん しわくちゃでもいいじゃん よごれてもいいじゃん いっしょうけんめいやることが、たいせつなんだよ めをかがやかせて …

せつない

傘の下で小さくなった君は 電車の音に負けないように 大きな声で叫んでる 君の声はとどかない 君の声は いつまでたっても とどかない 電車はとぎれることなく続いてる いつまでも いつまでも

千の笑顔と千の夢

夜空に手が届きそうなとき 千の夢と千の笑顔が あなたを迎える 星は、虹の輝きをはなち ビリー・ジョエルの歌声が 九キロ四方に響きわたる あなたは 涙がとまらなくなり 喜びが全身を震わせる ああ、まったく 世の中ってのはおもしろい

マグノリア

こんなにも 世界は残酷で 死にあふれ 苦痛に満ちているのに ぼくは平凡な毎日をなにげなく過ごしている 刺激を求めて 視線を彷徨わせて よるべなき道筋に 生まれゆく子どもたちは 何にもまして 窮屈で閉ざされている ああ、なにが正しくてなにが間違っている…

ぼくは雨がすきです 胸が躍るくらいすきです 平凡な毎日が長く続いたおりに突然降る雨などは、とてもすきです 濡れた木の葉からしたたる露 水を含んで、幾分か重たくなったような石 けぶる景色のなかにぼくが飛びます ウルトラマリーンの海を泳ぐようにぼく…

彼女の笑顔

彼女がぼくを怒るから 彼女が涙を流した 彼女がぼくを笑うから 彼女が涙を流した 彼女がぼくを哀しむから 彼女が涙を流した 彼女がぼくを愛したから 彼女が涙を流した 目の見えない彼女は世界一不幸なのに 世界一の笑顔で 世界一幸せそうな顔をする

どこもかしこも

新月に照らされた歩道の上に 思い出深い歌のなかに 冬風の吹く公園のベンチに マザー・テレサの心のなかに 人のまばらな地下鉄のホームに 蛍が飛びかう夏の河原に 子供を産みおとした母親の胸に 遊園地の観覧車のなかに うらぶれたアパートの一部屋に 言葉な…

情景1

夜に沈む山の影を見ると不安になる。 あなたは、いつも通り夕餉の支度。 トントンとまな板を打つ包丁の音。 あなたの背中には、悲しみが見える。 ゆっくり身体を蝕む病魔のように、 ためらうぼくに不安がのしかかる。 髪を切ったのはいつなのだろう? いま、…

子供の情景 1

虫をつかまえてよ 脚をもいでやるんだ 六本もあるから、一本くらいなくなっても大丈夫なんだ。 笑顔で言う子供に笑いかけていいのか、怒っていいのかわからない 日常が不安定になる瞬間 動揺 子供は残酷だ ぼくもその道を歩んできた 君は大きくなると何にな…

大きくなるために

坂道をのぼる元気があれば もっと大きくなれるのに 自分が偉いなんて思ったことはない でも、人には負けたくない 大きくなるってことが試練なら 人はみな子供のままでいたいはず 音楽を聴くように 歌をうたうように 自然でいられたらどんなにいいだろう 他人…