読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

頭木弘樹編「うんこ文学 ――漏らす悲しみを知っている人のための17の物語」

うんこ漏らしたことあるかって?そりゃ、ありますよ。オナラするつもりが、下痢っててでちゃったとか、いままでの人生で何回もありますよ。でも、正常の状態で便意をもよおして、トイレに間に合わず漏らしちゃったってのはないなー。でも、そういう危機に陥…

ペーター・ビクセル「テーブルはテーブル」

ナンセンスなのにちゃんと完結している。帰結がしっかりしているから、変なの、で終わらない。収録作は以下のとおり。 「地球はまるい」 「テーブルはテーブル」 「アメリカは存在しない」 「発明家」 「記憶マニアの男」 「ヨードクからよろしく」 「もう何…

傑作! 文豪たちの『徳川家康』短編小説

勝手に宝島社文庫だからって、なんか軽い感じに思っていて、実際読んでみてなかなかの読み応えに驚いております。収録作は以下のとおり。 南條範夫「願人坊主家康」 山本周五郎「御馬印拝借」 滝口康彦「決死の伊賀越え――忍者頭目服部半蔵」 火坂雅志「馬上…

平山夢明「俺が公園でペリカンにした話」

これまで刊行された平山夢明の本の中で一番分厚い。しかも連作ときた。いままでにないパターンだ。全部で20話。なげーよ。サイテーだよ。何読ませんだよ。特別だよ。いたしかたないんだよ。雨も降ってんだよ。なのに読んじゃうんだよ。でも、続けて読めねー…

西村賢太「瓦礫の死角」

久しぶりに西村作品を読んだ。ここに収められているのは 「瓦礫の死角」 「病院裏に埋める」 「四冊目の『根津権現裏』」 「崩折れるにはまだ早い」 の四編。最初の二編は若かりし頃の貫太の怠惰で醜悪な日常が描かれる。といっても、これが西村作品の持ち味…

春日武彦「屋根裏に誰かいるんですよ。  都市伝説の精神病理」

特別「屋根裏の散歩者」に思い入れがあるわけではない。ていうか乱歩自体あんまり好きじゃないんだけどね。一応、その短編は読んでいるんだけど心にも残っていない。だから、屋根裏を徘徊するだとか、そうして他人の私生活を窃視するとか、そういった行為に…