読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2022-01-01から1年間の記事一覧

黒川博行「果鋭」

これ、シリーズの三作目だって。いわゆるバディ物なんだけど、出てくるのは度が過ぎて大阪府警のマル暴から追い出された堀内と伊達の二人。元マル暴だけあって、ヤクザでも鉄砲玉でもこわいものなし。いや、怖いんだろうけど、度胸が並大抵じゃない。 競売屋…

舞城王太郎「畏れ入谷の彼女の柘榴」

まっとうだ。至極まっとうだ。突飛で(身に覚えのない子を授かる妻、言葉を話す猿、人の形をしてやってくる心残り)あまりにもブッ飛んだ設定の中で描かれるのは至極真っ当で、普段何気なくあまり気にもとめずに、思考の惰性で処理している事柄や、物事の本質…