読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

喜国雅彦/国樹由香「本格力」

ぼくの中で喜国雅彦氏といえば、ミステリマニアや古本マニアには堪らない「本棚探偵の冒険」を書いた人であって、決してミニスカートからのぞく女子高生の脚ばかり描いている変態漫画家ではないのである。ってか、「本棚探偵の冒険」読んで認識あらためたん…

階知彦「シャーベット・ゲーム オレンジ色の研究」

本書に登場する女子高生・穂泉沙緒子は、自分の知り得る情報を最大限に活かして推理するいわば演繹法を駆使するホームズ型探偵だ。ワトソン役である和藤園子がはじめて彼女に会ったとき、沙緒子は園子のフルネームからクラス委員をしていることまでピタリと…

澁澤龍彦 「犬狼都市(キュノポリス)」

キュノポリスという言葉の響きにまず翻弄される。そして犬狼都市という字面にシビれてしまう。このイメージだけでごはん三杯いけちゃうくらい素晴らしい語感だよね。それを書いたのが澁澤龍彦だっていうんだから、もう参りましたなのである。 三編収録されて…

スティーヴン・キング「ミスター・メルセデス(上下)」

キング御大初のミステリ長編なのであります。といっても、何がどう変わっているかといえば、何も変わらずいつものキングなのであります。ま、本書が正攻法のミステリとして書かれた作品として大きく取り上げられた上にエドガー賞まで獲ってしまったから『初…