読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2013-07-01から1ヶ月間の記事一覧

白河三兎「私を知らないで」

父親の仕事の都合でしょっちゅう引越しをしているベテラン転校生の中学生の男の子が主人公。彼は転校するたびにその学校での仕来りをリサーチし、生徒たちの関心を敏感に察知し、自分の立ち位置を固め居場所を確保してゆく。またいつ引っ越すかわからないの…

フェルディナント・フォン・シーラッハ「コリーニ事件」

シーラッハ初の長編ということで期待して読んでみたが、これがとてもオーソドックスな作品で前二作の短編集とはまたった印象をもった。今回の事件はとてもシンプルだ。もう古希に手がとどきそうな老人が大金持ちの実業家を射殺し自首した。だが、彼は殺した…

ダン・シモンズ「愛死」

平成6年に刊行された本書を19年寝かせて読了した。シモンズは長編ばかり読んでいて、中、短編は読んだことがなかったのだが、これが素晴らしい作品ばかりで驚いた。本書には5編の中編が収録されている。それではひとつずつ簡単に感想を書いていこうか。 …

山本弘「アリスへの決別」

七編収録の短編集。収録作は以下のとおり。 「アリスへの決別」 「リトルガールふたたび」 「七歩跳んだ男」 「地獄はここに」 「地球から来た男」 「オルダーセンの世界」 「夢幻潜航艇」 あとがきに書いてあるのだが、ここに収録されているほとんどの作品…