読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

アーバン・ウェイト「生、なお恐るべし」

脛に傷もつ身のフィル・ハントは小さな牧場を経営するかたわら、麻薬の運び屋として生計をたてていた。子宝に恵まれることもなく妻と二人細々と暮らしている彼はもう五十四歳、やり直しのきかない人生に諦念を感じていた。しかし、彼はいままで一度も仕事を…

シャーマン・アレクシー「はみだしインディアンのホントにホントの物語」

主人公であるアーノルド・スピリット・ジュニアは北米先住民(インディアン)のスポケーン族の保留地で育つ少年だ。生まれた時に水頭症で手術をするという生死の境を生き抜いたが、後遺症で言葉の発達が遅れたりして、よくいじめられる子になってしまう。 そ…

鈴木喜代春・著 山口晴温・絵「十三湖のばば」

最近、「ザ・インタビューズ」が流行っているのをみなさんご存知だろうか?ぼくはまだ登録してないのだが、ここに登録すると登録している人にいろんなインタビュー(質問)ができるのである。もちろん自分もインタビューを受けることもある。いろんなジャン…

『殺し屋ウィッチャム』

1 冬と共に殺し屋は街にやってきた。それは街がまだひっそりと身を潜めている夜明け前のことだった。そのウィッチャムという名の殺し屋は、とりあえずダイナーに飛び込み温かい朝食にありついた。他に客はいなかった。ジューシーな炙った豚の骨つきあばら肉…

金原ひとみ「マザーズ」

三人の若い母親が登場する。作家として活躍する自由奔放でドラック中毒のユカ。そのユカの高校時代の同級生で育児ノイローゼから虐待にはしってしまう涼子。モデルでありながら不倫を重ね、その相手の子を身ごもってしまう五月。三人は認可外の保育園『ドリ…

終末の光景

「醤油を一升飲んで死んだ人がいてんて」 「うそや。そんなん、飲もう思っても飲めるもんちゃうって」 「いや、ほんまほんま、いてんて。平安時代らしいけど」 「そうなん?しらんかったぁー」 子どもたちのくだらない会話を聞くともなしに聞いていると、窓…

古本購入記  2011年 8月

先日、NHKのBSプレミアムで海外ドラマ「SHERLOCK」を三夜連続でやっていたのをご存知だろうか?ぼくはまだはっきり観ていないのだが、子たちに教えてやると熱中して観ていた。このドラマは、あのシャーロック・ホームズを現代版に焼き直した「…