読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2007-06-01から1ヶ月間の記事一覧

古本購入記 2007年6月度

恒例の古本購入記なのだが、このところ月をおう毎に購入する冊数が減ってきている。もしかしたら、も う打ち止めに近づいてるのか、なんて思ってしまうのは杞憂だろうか?それともただ目につく本がないだ けで、世の中にはもっと多くの購入意欲をソソる傑作…

福田栄一「エンド・クレジットに最適な夏」

「本が好き!」の献本第7弾。 デビュー作の「A HAPPY LUCKY MAN」がことのほかおもしろく、この人はミステリも書ける人なんじゃないかと思っていたら、やはり出ました。それも老舗の東京創元社のミステリ・フロンティアからである。そうかと…

サラ・ウォーターズ「夜愁」

「本が好き!」の献本第6弾。 サラ・ウォーターズの本は初めてである。話題になっていた「半身」も「荊の城」もなんとなく読まずにきてしまった。でも、本書を読んでかなり焦ってしまった。やっぱり読んでおくべきだったのだ。 本書には、そう思わせるだけ…

五十嵐貴久「交渉人」

おもしろかった。タイトルからもわかるとおり、本書の主人公はネゴシエイターである。コンビニ強盗をした若者三人組が逃亡の途中で病院に逃げ込み、患者や当直の医師や看護士を人質にとって立て篭もってしまう。警視庁警備部警護課特殊捜査班課長代理の石田…

言霊

つぶやきは誰の耳にもとまらず ひんやりした風に乗って、どこかへとんでいってしまった こうして、言葉は思惑を包んだまま 世界のどこかへ運ばれる やがて、それが萌芽となって 小さな死や 誰かの思いつきや 目に見える奇跡となって 実をむすぶ 言葉は生きて…

三津田信三「首無の如き祟るもの」

三津田氏の作品は初めてである。デビュー当時から見知ってはいたので、どんな作風かはある程度予測はできた。ぼくの記憶に間違いがなければ、確かこの人講談社ノベルズでデビューしたんだよね? ホラー系だとはわかったけど、どうも食指が動かなかった。今回…

山田正紀「阿弥陀(パズル)」

ぼくにとって鬼門である山田正紀なのだが、本書はシンプルな謎と藤田新策の表紙に惹かれて、ついつい手にとってしまった。 そう、本書の謎はまことにシンプルだ。十五階建てのビルから人間が一人消失してしまうのである。ビルには監視カメラが多数設置されて…

更新遅延のお知らせ

最近、公私ともに忙しくなってきたので、平日毎日更新ができなくなってしまいました。 これからは、不定期に更新していきますのでよろしくお願いします。

夢枕獏「遥かなる巨神」

夢枕獏の二冊目の短編集が本書「遥かなる巨神」である。この頃の獏さんは、デビュー間もないこともあって意欲的にいろんな作品を書いていたみたいで、この短編集に収められている9編の作品もそれぞれ趣向を変えた作品となっている。収録作は以下のとおり。 …

和風ウィンチェスター・ハウス

「南向きの窓がたいそう良うございます」 年季のはいったばあさんは、シワと同化した目で笑いながらそう言った。南向きだから良いのか、南向き の窓から見える景色がいいのか、いったい何がどういいんだろう?と考えながら部屋に入ると、ばあさん の言ってい…

樋口有介「ともだち」

これはいままで読んだ二冊とは少し感触が違った。なにしろ主人公である女子高生、神子上(みこがみ)さやかは、剣の達人なのである。時代小説好きなら神子上という苗字を見てピンとくるかもしれないがなにをかくそうさやかの流派の始祖は、あの神子上典膳な…

古本購入記 2007年5月度

はやいもので、前回の購入記からもう一カ月たってしまった。光陰矢のごとしというけれど、ホント時の たつのははやいねぇ。最近は一日でさえ、すぐ過ぎてしまう。こういう感覚にとらわれやすくなったとい うことは、ぼくも歳をとったということだろうか。と…