読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2006-03-29から1日間の記事一覧

どこもかしこも

新月に照らされた歩道の上に 思い出深い歌のなかに 冬風の吹く公園のベンチに マザー・テレサの心のなかに 人のまばらな地下鉄のホームに 蛍が飛びかう夏の河原に 子供を産みおとした母親の胸に 遊園地の観覧車のなかに うらぶれたアパートの一部屋に 言葉な…

多岐川恭「濡れた心」

青春期のもどかしさ狂おしさつのる思いというものは誰でも通過儀礼として経験しているものである。 恋愛にしろ、人間関係にしろ、一時期のそうした暗中模索の期間を経て人は成長していく。 子供から大人へ変わるイニシエーションとしての痛みを感じて傷つき…