読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2005-11-23から1日間の記事一覧

ジェフリー・ユージェニデス「ミドルセックス」

豊饒な物語世界を堪能しました。 これぞ小説を読む醍醐味というものです。 アメリカに渡ってきたギリシャ系一家の三代にわたる長い歴史。 ユージェニデスはそこに近親婚と、両性具有という稀有な、それでいてかなり魅力的な題材を盛り込んで、いままでにない…

イエールジ・コジンスキー「異端の鳥」

地獄巡りです。 戦争の悲劇を、ヒューマニズムをいっさい排した残酷さで描いています。 一人の少年の目を通してのぞき見る世界は死に満ちあふれ、人間の尊厳や道徳なんか、これっぽっちもありません。過酷なサバイバルの世界でした。その過酷な世界を生き抜…

デイヴィッド マレル「苦悩のオレンジ、狂気のブルー」

マレルといえば、映画「ランボー」の原作である「一人だけの軍隊」が有名ですね。 その他にも長編なら「石の結社」や「夜と霧の盟約」、「ブラック・プリンス」などといった冒険活劇的 な作品が多く、どうもこの作家は自分には合わないなと思っていたのです…