読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2005-11-18から1日間の記事一覧

ジョン・スタインベック「怒りの葡萄」

これは、資本主義的な経済の発展と共に昔ながらの農業を続ける小作農家の家族が土地を奪われ、別天地だと信じるカリフォルニアに大移動する行程を旧訳聖書の『出エジプト記」になぞらえて描いた、一大叙事詩であります。 こう書くと、のっけから小難しい印象…

コニー・ウィリス「犬は勘定に入れません~あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎」

では、「ボートの三人男」を本歌取りした傑作SFいってみましょうか。 本書はタイムトラベル物であります。21世紀と19世紀を行き来し、過去の遺物を存続しようとする史学生ネッドとヴェリティが本書の主人公。 で、あのユーモア小説「ボートの三人男」…