読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2005-11-14から1日間の記事一覧

ロバート・ウェストール「弟の戦争」

戦争文学は数あれど、湾岸戦争をこういう風に正面切って描いた作品は、はじめてでした。本書の主人公の弟フィギスは、少し変わった子で小さい頃から不思議な言動が目立っていました。人の気持ちをおそろしくナイーヴに受けとめ、一種のテレパシーのようなも…

アイラ・レヴィン「ブラジルから来た少年」

本書の魅力は、サスペンスにあります。いったいどういうサスペンスなのか?本書の巧みな点はそこにあります。 全体を覆うナチスの影、第1章からピンッと張り詰めた緊張感に包まれ不穏な空気が漂い、読者はあれよあれよという間に話に引き込まれてしまう。そ…