ローマ史?高校生の頃世界史で習ったっけ。カエサル、カリギュラ、ネロ、マルクス・アウレリウス・アントニヌスくらいは、名詞として知っているけど、それ以上でもそれ以下でもない。まったくローマ史については無知蒙昧なのであります。
でもね、そんなぼくがなぜか本書を読んでみようと思ったわけ。理由なんてありませんとも。突然、読もう!と思ったのだ。
雰囲気としてのローマはもちろん頭の中にあった。白いトーガ、彫の深い顔立ち、筋肉質な身体、公衆浴場。いや、「テルマエ・ロマエ」だけの情報じゃないですよ。あの漫画以前から、そういう認識は頭の中にあったからね。あと、剣闘士や競技場ね。いや、「ベン・ハー」や「グラディエーター」だけの情報じゃないですよ。なんか、墓穴掘っているみたいだけど、本当にこういうイメージはもともとあったのである。
で、本書なのだが、ぼくみたいなまったくの素人が読んでもおもしろいんだからたいしたものだよね。最初は、読み始めてすぐ興味なくす感じなんじゃないかと思っていたのだが、いやいやそんなことないんですよ。
ではなぜこんなローマド素人のぼくでもけっこう面白く読めたのかというと、それは本書の語り口にあると思うのである。作者のモンタネッリ氏はイタリアのジャーナリストで、それまで物々しい語り口で綴られていたローマに関する歴史書を見習わず、平易でくだけた文体でローマの歴史を繙いたのだ。だから、千年以上も続いたローマの歴史にぼくみたいな無知蒙昧が接するにはもってこいの本だったわけ。
ま、とにかく簡単に人が殺されてしまうのには感心した。皇帝は殺されて代わっていくのが普通だもんね。長い歴史の中では、様々な皇帝があらわれたわけなのだが、賢帝もいれば愚帝もいて、その盛衰はかなりドラマチック。有名なカリギュラ(本書ではカリグラと記述)やネロなんてぼくでも知っている残酷無比な印象のある皇帝が本書を読んで少し認識が変わったのも新鮮だったし、ガリア戦記で有名なカエサルがクレオパトラとチョメチョメしていたってのも知らなかったし、そしてなにより一番知りたかったのがキリストと同時代に生きた人々の関係性がわかったのが、すごくスッキリした。ハドリアヌスやマルクス・アウレリウスなんて賢帝の生涯もわかったし、ハンニバルやアレキサンドロス大王の位置づけもある程度理解できた。いまでは世界的なキリスト教も新興宗教として迫害の道を歩んできたってことは理解していたけど、なんか、その神話的な話がもっと身近に感じられたのが良かった。
知るって、なんか、ワクワクするよね。